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もう11月。「秋深き隣はなにをする人ぞ」という松尾芭蕉の俳句。塩田の神社仏閣を回っていても、隣に人がいなかった今年ですが、やっとお参りに来る人たちが増えてきました。先日前山の前山寺の黄葉はどんなかなあ と行ってみたら、三重塔の銀杏が見頃でした。本堂横から一段上の三重塔の方向を見ると、手前にある銀杏が大きく見え、三重塔と同じ高さかと感じます。今年のこのイチョウは、例年に比べると「真っ黄色」という感じではないのですが、塔の後ろから差し込む陽の光に照らされていい風景。
前山寺の三重塔は、上層部の廊下(縁)や手すり(勾欄)などがなのですが、それがなくても美しいので「未完成の完成塔」と呼ばれています。研究者の最近の見解では、戦国時代、ここを治めていた福沢氏が塔を造り始めたが、武田信玄に攻められて建造途中でやめてしまったということのようです。
そんなことがあった400年後に、そうした人間同士の争いの出来事を感じさせず、こんなきれいな姿を拝めるのはありがたいことです。
お寺の参道にはドウダンツツジの真っ赤な木が列をなしています。右手にある庭園には木々が色様々に。真っ黄色の銀杏もあります。あったかい日には、これらの木々を観、眼下の塩田平の風景を眺めながら、庭園の中の東屋でお弁当を食べるのもいいですよ。(F森)