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塩田平の文化財 ―2つの塩野神社 その1 前山―

塩田平の文化財を紹介するシリーズ。塩田には、「塩野神社」と呼ばれるお宮が二つあります。
独鈷山に近い高台にある前山の塩野神社と、中塩田の保野にある塩野神社
 塩野神社の歴史は古く、平安時代の10世紀にできた朝廷の公式文書「延喜式」にその名が出てきます。「式内社」といいますが、実は江戸時代、二つのお宮のどちらが「式内社」なのか争いがあって、寺社奉行の裁定によって両社とも「塩野神社」の名前を使ってはいけないことになってしまいました。その後、明治時代になってようやく使って良いということになり、現在に至っています。
そんな二つのお宮ですが、どちらも歴史あるところなので、両方とも紹介しようと思います。
最初は前山の塩野神社。創建は、約1300年前の天武天皇の時代に、出雲大社の分霊を勧請して、独鈷山の「鷲岩」という支峰に祀られたのですが、なにせ絶壁の上で参拝が不便ということで今のところに遷されたということだそうです。
鳥居をくぐると「太鼓橋」。いかにも神様がお通りになる風情の橋。下を流れるのは塩野川ですが、このお宮の御神体は「水」なんだそうです。生島足島神社は「土」ですが、両方とも米を作るのに不可欠な大事なもの。上田5万石のうち塩田3万石と言われた米どころ塩田のお宮らしいところです。
 橋を渡ると目の前には拝殿と、その奥に本殿。拝殿は「勅使殿」と呼ばれ、江戸時代中期の寛保3年(1743年)に再建されたものです。楼閣造りという2階建てで、二階建ての拝殿は、長野県ではここと諏訪大社だけだと聞きました。
奥が本殿ですが、ここに祀られている神様は、スサノオノミコト、オオナムジノミコト、スクナヒコナノミコト。いずれもオオクニヌシノミコト(大国主命)に縁のある神様。大国主命の次男のタケミナカタノミコト(建御名方命)を祀る諏訪大社とも縁があり、境内には「上諏訪社」と「下諏訪社」があります。

 

 神社の西に一の鳥居があって、太鼓橋の手前の二の鳥居まで約200メートルの直線道路がありますが、鎌倉時代にここで流鏑馬が行われたとのこと。馬に乗って走りながら弓で矢を射て的を落とすものです。漫画の神様「手塚治虫」さんの祖先ではないかとNHKの「ファミリーヒストリー」で紹介された手塚太郎金刺光盛という木曽義仲の武将が稽古したともいわれます。
神社の脇にある坂道を登っていくと、「月見堂」という西塩田から中塩田まで一望できる見晴らしの良いところもあり、見所たくさんのお宮です。(F森)

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