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塩田の山 大姥坐像の伝説 富士嶽山

 富士嶽山は、奈良尾地区の南にそびえる山。塩田の一番東側にある山になります。標高は1038メートル。東隣にある安曽岡山(1085m)よりちょっと低いですね。
この山、富士嶽神社の奥社がある神の山。そして、神様たちの伝説もあるのです。

富士嶽神社の里宮のちょっと上にある登山口近くに祀られているのが「大姥座像」。大きい口を開けてちょっと怖い顔をしたおばあさんの石像です。室町時代、雨乞いの行事をしたところ雨が降ったので、そのお礼で造られたのだそうです。なのですが、像のモデルというか、だれの姿なのかというと、いくつか説があります。その一つを紹介します。
天照大御神の孫のニニギノミコト。その妻はコノハナサクヤヒメノミコト(木花開耶姫命)なのですが、彼女が富士嶽山のご神体になろうとして山を登りました。その当時、富士嶽山は火山だったそうです。で、彼女は男女一人ずつの従者を連れていました。一人は薬師(くすし)。医者ですね。もう一人が乳母。3人は頂上を目指したのですが、従者の二人は、山のきびしさに途中で登ることができなくなってしまいました。コノハナサクヤヒメノミコトは登り切り、火柱の立つ中に消えていきます。乳母は小さい頃から手塩にかけて育てた姫をいとおしんで「お富士や~」と叫んだまま命がなくなり、石になったのです。それが大姥坐像。
そして、富士嶽神社の祭神は、山のご神体になったコノハナサクヤヒメノミコトと夫のニニギノミコト。言い伝えが、坐像や祭神という形で今も残されているということですね。
そんな言い伝えのある山を実際に登ります。登山口から登り始めて少し行くと、さきほど出てきた従者の一人「薬師」を祀った社。道は細いですけど結構わかりやすいです。ところどころに倒木がありますが、雨風の影響でしょうか。林の中をどんどん登っていくと、最後の急登。案内板には250mとあります。ここまでも結構な坂だったのですが、ここはすごい。ずっとロープが張ってあって、それがなければ這って登るような感じです。
そこをなんとかやり過ごすと、頂上。富士嶽神社の奥社があります。その先、西側にもう一つの峰があって、そちらに1034メートルの三角点があるのですが、今回行くのは省略。

 眺望はいいですね。眼下に東塩田が一望。左手には安曽岡山がそびえていますし、中塩田もしっかり見えます。

登山口からここまで約1時間というのが標準時間。安曽岡山や独鈷山に比べると短いです。が急登の分体力は使います。コノハナサクヤヒメのお供が途中で断念したのもわかります。倒木を片づけたり、道しるべのテープを張るなどして登山道をもう少し整備すれば、多くの人に登ってもらえる山になると思います。(F森)

 

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