お電話でのお問い合わせ0268-38-8600
塩田平には数多くのため池があります。塩田平土地改良区のデータベースに登録されている比較的大きなため池だと41か所。これらのため池の貯水量を合計すると約300万トンになります。と言っても実感がわかないので、一般家庭の水使用量と比較すると、年間の使用量が約300トンと言われているので、1万軒が1年間で使用する水を貯めていることになります。塩田の世帯数が約8千戸なので、それを上回る量ということです。
で、ため池が造られた目的は、米作りに使うためというのは言うまでもありません。塩田を含め上田市の年間降水量は約900mm。全国平均の半分くらいです。そして塩田は、川の水の量も少ないのです。アルプスのような高くて深い山がないので、山に降った水が川になっても、量は多くありません。これでは米を作るには足りません。池に貯めた水を使うしかありません。
多くのため池は、江戸時代に造られたり拡張されました。上田藩5万石のうち、塩田で3万石とも言われた一大穀倉地帯。藩を挙げてため池を造りました。
そして、ため池は、米作りだけではなく、ほかにもいろいろな機能を果たしています。貴重な動植物、例えばマダラヤンマといったものが数多く生育していますし、水田が広がる中でため池が点々とあるというのは、いかにも美しい風景です。
水の少ない塩田では、日照りの時にはため池があってもまだ足りないことも多かったのです。そこで神頼み。大きな松明を池の周りで燃やして「アメフラセタンマイナ」とみんなで祈ったり、お地蔵様の像を川に投げ込んで、怒ったお地蔵さんに雨を降らしてもらうというような雨乞い行事も昔から行われてきました。
そんなため池、塩田のまさに文化財なんです。
塩田平を中心に上田が日本遺産に認定されて2年余り。「レイラインがつなぐ太陽と大地の聖地 龍と生きるまち信州上田・塩田平」ということで、文化財などをいくつかのストーリーにしているのですが、雨乞い行事だとか、ため池に関係するものもそのストーリーを構成する文化財に指定されています。
そしてこのたび、ため池そのものも、文化庁によって構成文化財に追加指定されました。
今年は、11月に「全国ため池フォーラム」というイベントも上田市で開催されることになっており、塩田のため池が全国的にも注目されることになります。
いろんな意味で、塩田のため池群をもっと多くの方々に知っていただき、巡ってもらえるようになればいいなあと、関係者の一人として感じます。(F森)