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今年初めて行われる「日本遺産 信州上田・塩田平検定」で出題されるかもしれない文化財の紹介シリーズその8です。
検定についての詳しいことはこちら→ https://www.city.ueda.nagano.jp/site/nihonisan/81695.html
今回は、前回ご紹介した中禅寺のすぐ隣にある「塩野神社」です。
相当昔からあるお宮です。10世紀に出された「延喜式」という朝廷の公式文書に、諏訪大社や生島足島神社などと一緒に名前が出てきます。中央政府に知られていたくらいの神社なのです。
ただ、塩田には「塩野神社」という名前のお宮が保野にもあります。どっちのお宮が延喜式に載ったのか、江戸時代に両者で争いになり、「お上に白黒つけてもらおう」と寺社奉行に訴えたのですが、「そんなら両方とも塩野神社と名乗るのを禁ずる」と藪蛇になってしまいました。明治になって両方とも「塩野神社」の名前が許されて、したがって今でもどちらが「式内社」なのか決着がついていないのです。
それはともかく、前山の塩野神社の境内に入ると、大きな木があったり、塩野川の清流が流れていて夏でも涼しい。川にかかる太鼓橋から水の流れを見ていると、すがすがしい気持ちになります。このお宮、ご神体が「水」なのです。
太鼓橋を渡ると拝殿です。2階建ての「楼門造り」というもの。この建築様式は珍しく、長野県内では諏訪大社とここだけだそうです。
その後ろにあるのが本殿。ここの彫刻が素晴らしい。江戸時代中頃の寛延3年(1750年)に造られたのですが、天女だとかウサギ?のようなものとか細かい細工が至るところに施されています。特に目に付くのが「龍」。正面の扉や側面などいくつもの龍が顔をのぞかせています。
この龍にまつわる民話は、「塩田平かるた」にも登場する話です。かるたの読み句は「龍にまつわる物語 塩野神社の 御神木」。
龍は、夜になると御神木のケヤキの木を遊び場にしていて、枝が折れて枯れそうになってしまいました。そこで困った村人は、龍の目玉をえぐり取ってしまい、目が見えなくなった龍は暴れることができなくなりました。
ある夏の日に大夕立があり、真っ暗になって電光がひらめき、大きな音とともに御神木に雷が落ち、木は燃え始めました。雨はやみましたが火は消えず、とうとう根元の少し上から折れてしまいました。村人たちは、龍の目玉をえぐるようなむごいことをしなければ、龍が天に昇ってもっと雨を降らせて火を消してくれたかもと、たいそう後悔したそうです。
日本遺産のストーリーテーマ「龍と生きるまち」。水の神である龍は大切にしなければいけないという戒めをこの民話は伝えているのでしょうか?(F森)