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夫神岳。別所温泉と青木村にまたがる山です。塩田では「オガミ」と呼び、青木村では「オカミ」と濁らないのです。標高は1250m。
別所温泉側からも青木村からも、標準コースタイムは1時間30分くらいです。どちらも最初は幅広い林道を歩いていくので仲間とワイワイ言いながら登れるのですが、上の方は急登。かなりの坂道を登っていかなければなりません。
なんとか登り切って頂上に着くと、そこには二つの石の祠があります。一つの祠には「高龗大神」と彫られています。「龗」の字は、「雨」の下に「ロ」が横に三つ並び、その下に「龍」。水をつかさどる神様です。ここでは「九頭竜神」。「高」は山峰を意味するそうです。山の上の水の神ということでしょうか。
で、ここは、別所温泉で500年以上続く雨乞いの行事「岳の幟」の出発点です。室町時代、干ばつがひどいため、夫神岳に祈ったところ雨が降ったので、感謝の意味で頂上に祠を建て、幟を奉納したことがその行事の始まり。
今の岳の幟は、7月15日に近い日曜日、祠の前で五穀豊穣を祈った後、幟を担いで里に下り、三頭獅子やささら踊りも披露しながら地区を回り、最後は別所神社で奉納します。
夫神岳の祠は、東側の別所温泉方向を向いています。祠を建てるとき、別所温泉側と青木側でどっちにその向きを決めようとして、牛と馬でどちらが早く頂上に着くか競争することになり、くじ引きで牛になった別所温泉、馬の青木。青木の馬は、途中で湧水を見つけ休憩してしまい、牛に負けてしまった。そんなことで、祠は別所温泉方向を向いています。
頂上からの眺めは、木々にさえぎられて正直良いとはいえず、北東方向に四阿山や根子岳が遠く望める程度。でも地元の人たちで手入れもされていて、時期によっては北アルプスも見えるとか。
一つの「聖地」とも言える夫神岳。女神岳と共に塩田の西の守りなのです。(F森)