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今年初めて行われる「日本遺産 信州上田・塩田平検定」で出題されるかもしれない文化財の紹介シリーズその9です。
検定についての詳しいことはこちら→ 日本遺産信州上田・塩田平検定
前山の3か所の寺社から別所温泉に移動し、今回、まずは「安楽寺」です。
安楽寺と言えば「八角三重塔」。まず第一に挙げられる文化財です。日本の現存する三重塔で八角形をしているのはここだけ。そして、長野県で最初に国宝に指定されました。昭和27年(1952年)に「松本城」とともに国宝になっています。善光寺本堂はその次の年。
鎌倉時代終わりごろの1290年代に建立されたと言われています。塔内部に使われている部材の木が1289年に伐採されたものであることから推計されました。木材を乾燥させて使うので、その後10年くらいの間に塔ができたということです。
ということで、参拝される方がたくさんおられるのですが、それとともに注目していただきたいのが、四国霊場の仏像です。
「塩田平札所めぐり」の15番札所。江戸時代、四国霊場88体の仏像を京都の仏師に彫ってもらって、塩田の21か所の寺やお堂に安置したものですが、安楽寺にはその時8体もの仏像が来ました。平均すると1カ所4体くらいなのがその倍もここに来ています。江戸時代、「仏像を塩田に」と言い出したのが下之郷の庄屋さんで、その地元の1番札所長福寺(当時は遍路堂でしたが)が8体と同じですが、やはり他のお寺やお堂とは当時から「別格」と見られていたのでしょうか?
現在これらの仏像は、「羅漢堂」に安置されています。駐車場から上り坂のきつい石段を上がり、山門を入って本堂に向かう参道の左側にあります。
ここは、「十六羅漢」というお釈迦様の代表的なお弟子さんたちの像が安置されているのですが、その上段に四国霊場の仏像があります。
そして、もう一つご紹介したいのが「高野槙」(こうやまき)です。弘法大師が開いた金剛峰寺のある高野山にあることから名づけられたそうです。羅漢堂からさらに本堂に向かっていった左側に高くそびえる木。高さは25メートルとか。首が痛くなるくらいに見上げる高さですが、手入れはきれいにされています。聞くところによると、クレーンで釣り上げたゴンドラに人が乗って作業をするのだとか。
この高野槙は「別所五木」のひとつ。ほかに、北向観音の「愛染かつら」と「夫婦杉」、常楽寺の「御船の松」に大湯薬師堂の「ねじり紅葉」。それぞれご利益があって、愛染カツラの「縁結び」は良く知られたところですが、ここは「希望」。天を突きさすようにまっすぐ伸びた姿を見ると、望みがかなえられそうな気がしますね。(F森)