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塩田平にある仏像を仏様の種類(?)ごとに紹介するシリーズ。5回目は「大日如来」です。
大日如来といえば、真言宗では最高位の仏さまで、宇宙そのものを表す方ですね。
塩田の真言宗のお寺でご本尊になっているところもあります。前山寺、西光寺、そして長福寺も薬師如来とともに本堂に祀られています。
「如来」といえば、数ある仏様の中で最高の位の方々です。観音菩薩や地蔵菩薩といった「菩薩」、不動明王や愛染明王の「明王」などの仏様がある中で、悟りを開き最高の境地に達した仏様たち。大日如来のほか、阿弥陀如来、薬師如来、釈迦如来などの如来様がおられます。その中でも中心となるのが大日如来なんですね。
お姿からしてほかの如来様とは違います。最初の写真は、信濃国分寺三重塔に安置されている大日如来像です。
如来は悟りを開いた方。ほかの如来様たちは、身に着けているものも1枚の布、頭には、冠とかなにもかぶっていません。欲を捨て去った姿でしょう。
でも大日如来は別です。宝冠をかぶったり、髪を結ったり、腕輪などの装身具を身に着けたり、観音菩薩のように昔の貴族の姿をしています。
そして、大日如来は、真言宗で最高位の仏様なのですが、ほかの宗派でも重視されています。
最初の写真の大日如来があるのは、信濃国分寺ですが、ここは天台宗。
2枚目の写真は3つの三重塔です。左から、別所にある安楽寺は曹洞宗で、ここの国宝八角三重塔にも大日如来。青木村にある大法寺の三重塔、駒ケ根市の光前寺の三重塔にもあるのですが、この二つのお寺は天台宗です。
ということで、三重塔を並べてみましたが、どうも三重塔の中に安置されているのは多くのところが大日如来のようです。光前寺は大日如来を中心にして、周りに阿弥陀如来や宝生如来といった4人(?)の如来が安置されています。「五智如来」です。そして安楽寺も、今は大日如来だけですが、かつては五智如来があったとされています。
なぜ、三重塔は宗派に関係なく大日如来が祀られているのか? 研究課題です。
で、塩田の代表的な真言宗のお寺、前山寺。本尊は大日如来ですが、ここの三重塔にも当然大日如来像があるように思います。が、ここにはありません。
なぜなのか? 「未完成の完成塔」と呼ばれるこの塔。手すりや廊下ができていないので未完成だと言われています。それが仏像がないのと関係しているのかはわかりません。これも謎ですね。
でも、この塔の2階の屋根の下に掲げられている「額」。ここに「大日如来」と書かれています。3枚目の写真です。そして、1階の東西南北4面ある屋根の下には4人の如来の名前が書かれています。「五智如来」ですね。中心となる大日如来が一段高い2階に掲げられています。
いろんな意味で謎が多い大日如来像。興味の尽きない仏様ではあります。(F森)