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塩田平にある仏像を仏様の種類(?)ごとに紹介するシリーズ。6回目は「阿弥陀如来」です。
阿弥陀如来は、人々を救おうと長い間修行をして悟りを開き、西の極楽浄土(西方浄土)に住んでいる仏様です。
最初の写真は、西光寺の阿弥陀堂に安置されている「三体阿弥陀如来像」。3体の仏像が祀られている場合、一般的には真ん中がご本尊で、両側が脇侍(わきじ)という違う仏様がおられます。「阿弥陀三尊」の場合、脇侍は観音菩薩と勢至菩薩がよくある例ですね。
このお寺の場合は、3体とも阿弥陀如来です。
西光寺は真言宗智山派のお寺でご本尊は大日如来。西光寺に伝わる話では、その昔、平安時代に弘法大師が塩田にやってきて、大日如来と阿弥陀如来の仏像を彫ってくれたそうです。そして村人たちは、今の西光寺境内にある阿弥陀堂のところに小さいお堂を建て、仏像を安置しました。
それから400年以上もたった鎌倉時代、北条国時が、夜、塩田と丸子の境の二ツ木峠から西を見ると、ときどき光が見える。なにか貴いものがあるのでは、ということで、大日如来を本尊とした西光寺を開き、阿弥陀如来はそのお堂に安置して、それが後に今の阿弥陀堂になったとのこと。ちなみに、この阿弥陀堂は東に向いています。私たちが阿弥陀様を拝むときは、したがって東側から西側にいる仏様に手を合わせることになります。仏像の後ろ、「西方浄土」におられる阿弥陀様を拝むということですね。
ところで、阿弥陀様といえば、法然上人が開いた、「南無阿弥陀仏」とひたすら念仏を唱える「専修念仏」の浄土宗を思い浮かべます。阿弥陀様に帰依する、お任せするという他力本願の宗派です。塩田には、現在、舞田の法樹院と保野の林法院の2つのお寺があります。
2枚目の写真は林法院の本堂にあるご本尊の阿弥陀如来。金色に光り輝く仏様です。
このお寺は、上田から北向観音に向かう「北向観世音道」にあります。今は県道177号線が別所に向かう主要道路になっていますが、昔は保野の村中を通る旧道を通りました。林法院は、江戸時代、上田のお殿様が北向観音へのお詣りや別所温泉の湯に入るため別所に向かうときの休憩所になったのだそうです。
で、浄土宗のお寺は「現在は2つ」と書きましたが、令和4年以前はもう一つありました。柳沢の「青龍寺」です。江戸時代初期の1651年にできた歴史あるお寺ですが、明治8年(1875年)に住職が住まなくなり、林法院の住職などに兼務を頼んでいましたが、3年前に浄土宗のお寺としては廃止されました。
しかし、今も地元の方々が管理をされていて、3枚目の写真にあるように、中には立派な阿弥陀如来像が祀られています。
阿弥陀如来像についてもう一つ。釈迦如来が本尊であることの多い曹洞宗ですが、八木沢にある法輪寺の本尊は阿弥陀如来です。安楽寺の末寺で、安楽寺三世が開いたお寺です。なぜ本尊が阿弥陀如来なのか? またまた研究テーマができました。(F森)