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塩田平にある仏像を仏様の種類(?)ごとに紹介するシリーズ。4回目は「釈迦如来」です。
今回ご紹介する釈迦如来があるお寺は、大圓寺、龍昌院と瀧澤寺です。いずれも宗派は曹洞宗。
塩田のお寺で曹洞宗なのは、ほかに3つあって、龍光院、安楽寺、法輪寺。全部で6つのお寺になります。
このうち、法輪寺を除くと、本尊はみな釈迦如来。曹洞宗のお寺は全国でも釈迦如来の本尊が多いんですかね?
ということで、大本山を調べてみました。
神奈川県にある總持寺はやっぱり釈迦如来。もう一つの大本山で、曹洞宗の開祖道元禅師が創った福井県の永平寺は3体の仏像がご本尊だそうです。阿弥陀仏と弥勒仏、そして真ん中に釈迦如来の像。大本山でも釈迦如来が一番重視されているようです。
釈迦如来は、もちろん仏教の祖お釈迦様ですね。
では、塩田のお釈迦様です。
最初は奈良尾の大圓寺です。
ここのお寺ができた理由というのが、さすがに人の振る舞いに厳しい曹洞宗だと感じるものです。江戸時代に入る直前、年貢に苦しむ農民が直訴しようとして役人につかまりそうになり、月窓寺という曹洞宗のお寺に逃げ込んで、住職が真田信之公の家臣に死罪にしないよう頼んだのですが、家臣は殺してしまいました。怒った住職は寺に火をかけ、江戸に出訴しようとします。家臣はそれを追いかけ、平身低頭してあやまりました。そして、百表たちの菩提を弔うため、家臣が寺を寄進することになり、この寺ができました。
そんなお寺に祀られているお釈迦様は金色に輝いています。枝垂れ桜やカタクリの花が名物の大圓寺。広い本堂で釈迦如来に手を合わせてお堂の壁を見ると、それらの写真が飾られていて、これもお詣りの功徳かなあ。
次は、保野の龍昌院です。保野の村中からちょっと高台に上がったところにあります。
ここのお釈迦様はユニークです。「出山(しゅっさん)の釈迦像」といって、修行を終えたお釈迦様が山を下りてきた時の立ち姿。多くの弟子を抱え、仏教の布教に取り組む前の姿。仏像を拝むというと、いろいろなことをお願いするのが普通ですけど、この仏像に手を合わせるときは、厳しい修行を終えた一人の僧の前で、ただただ純粋な気持ちで手を合わせます。
最後は、中野の瀧澤寺です。前山にある龍光院の三代目の住職が江戸時代の初めに創ったお寺です。ここで修行して龍光院などのお寺の住職になったり、龍光院の住職が隠居するためのお寺だということです。龍光院の住職が「龍光院は山の陰で日照時間が3時間くらいしかないので、よく日の当たるところに末寺を創った」と冗談めかして言いますが、広い平野の真ん中にある中野の、本当によく日の当たるところにあります。
瀧澤寺の住職は龍光院の住職が兼ねているので、普段は無人です。「塩田平の札所めぐり」などの時に本堂に入らせてもらい、ご本尊にお詣りします。ここは、江戸時代に四国霊場の八十八体の仏像を塩田に勧請した時、三体の仏像が安置されました。それらは、今は龍光院に祀られていて、気さくな住職がもったいぶらずに自由に拝ませてくれます。(F森)