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東前山の「龍光院」といえば曹洞宗のお寺です。坐禅など厳しい修行で知られる曹洞宗。龍光院の黒門の横には、「山門禁葷酒」と彫られた大きな石碑があります。「葷酒 くんしゅ」とは、ニラやニンニクなどにおいの強い野菜やお酒のことで、それらを寺に持ち込んではならないということです。開祖道元禅師の厳しさが伝わってきます。
そんな龍光院に、ちょっとかわいらしいお地蔵さんが祀られています。本堂の左側に並ぶのは、石で造られた干支の動物たちとその横にお地蔵様の像です。最初の写真は今年の干支の「丑」。3枚目の写真は来年の「寅」。
自分の干支って結構気になりますよね。還暦をとうに過ぎた者としても、「おう、これが自分のお地蔵さんだ!」なんて思うんです。
感じ入るのはそんな年を重ねた人だけかなあと思っていたら、中学生に大うけです。塩田中学の1年生は、年に1度、5~6人のグループを作り自分たちで計画を立てて塩田の神社仏閣などを1日かけて回る行事をやっています。
それぞれの所では、塩田平ボランティアガイドの会の会員が文化財などの解説をしていて、私は龍光院が担当なのです。龍光院は、黒門から本堂に至る参道が急坂で、トレーニングのために毎日のようにこの坂をジョギングしている者としては、お世話になっているお寺の紹介をすることができるのはうれしいので、毎年ここを担当させてもらっています。
中学生のグループは、ここの坐禅堂(選仏場)で坐禅の体験をした後、お寺の歴史などをガイドから聞くことになるのですが、慣れない姿勢で坐禅をした感想を聞くと、「足が痛い!」という答えが多いです。私もそうですが、最初はそんなものです。そんな彼らに干支のお地蔵様があると教えると、仲間たちがそろって自分の干支の像の前に行き、足の痛みを忘れて(?)喜んでいます。
お地蔵さまは、人々の苦しみを救ってくれる仏さま。まだ十代の中学生はこれから多くの苦しみに会うと思いますが、干支のお地蔵様を思い浮かべて笑顔で乗り越えてくれればいいなあと、彼らの楽しそうな顔を見て思うのであります。(F森)