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今回ご紹介するのは、別所温泉駅からちょっと温泉街の方に上がった所にある「七苦離地蔵尊」です。温泉街の大駐車場のすぐ向かいにあります。
お堂は六角形の珍しい形で、中にお地蔵様の立像がお祀りしてあります。お堂は、ちょっと見では結構新しいもので、常楽寺が建立したもののようです。中のお地蔵さまも新しいのかなあと思ったら、平安時代後期のものだそうです。数年前に上田市教育委員会が上田市内の仏像をすべて調査した結果なのですが、そうなると塩田の中でも最も古い仏像の一つになります。
別所温泉は、古くは「七久里の湯」と言われ、清少納言の「枕草子」には、「湯は七久里の湯、有馬の湯、玉造の湯」とあって、日本の名湯3つの一つに挙げられているそうです(異説もあるようですが)。「七久里」が「七苦離」につながり、七つの苦しみを離してくれるお地蔵様なのですね。
地蔵菩薩は、生きとし生けるものが輪廻転生する「六道」=「地獄」「餓鬼」「畜生」「修羅」「人間」「天」のそれぞれの世界にいて、衆生の苦しみを救ってくださる存在です。いろいろなお寺でよく見かける「六地蔵」は「六道」それぞれのお地蔵様なのです。
六道に加え、七つの苦しみからも救ってくださるという「七苦離地蔵尊」。別所では、北向観音や安楽寺、常楽寺という有名どころに眼がいきがちですが、新しいけれども珍しい形のお堂と、塩田で最も古い仏像の一つとみられる地蔵尊像も、別所に来たら眼が離せない存在だなあと感じました。(F森)