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常楽寺美術館の企画展 中国人水墨画家が描く別所の風景

 常楽寺美術館。別所温泉にある格式あるお寺の常楽寺境内にある美術館です。常楽寺は、北向観音の本坊で、宗派は天台宗。天台宗別格本山ということで、格式の高いお寺です。
そんな常楽寺には、住職だった半田孝海さんやそのお子さんの孝淳さんが集めたものなど、数多くの美術品があります。それを展示しているのが常楽寺美術館なのですが、国の重要文化財になっている徳川家康が巻紙に書いた念仏だとか、市指定文化財の愛染明王画像といった指定文化財も多くありますし、あの棟方志功さんから寄贈された文殊菩薩・普賢菩薩の版画なども所蔵しています。
常設展示もあるのですが、ここの見どころは企画展。毎年これをやっていて、今年の前半は、干支の「寅」を題材にしたもの。そして、7月から開催されているのが「傳益瑶とその家族」
 傳益瑶(フ・イーヤオ)は中国人の水墨画家。中国伝統の水墨画に日本画の技法を取り入れた人なんだそうです。
で、何で常楽寺と関係が? と思ったのですが、お寺の56世住職で天台宗僧侶の最高の位である天台座主でもあった半田孝淳さんと深い関係にあったからなのです。お父さんの孝海さんは、1958年に設立された長野県日中友好協会の初代会長を務めた方なのですが、孝淳さんも1964年に訪中し、傳益瑶のお父さんで画家であった抱石さんと出会い、その家族の美術品が20点ほど常楽寺美術館に所蔵されているそうです。
傳益瑶は、そんな縁もあって、常楽寺の障壁画を制作し、ほかにも、戸隠の大昌寺や京都の三千院、三十三間堂、福井の永平寺など日本の名刹の障壁画を手掛けています。
また、常楽寺に泊まり込み、その障壁画だけでなく、別所温泉の風景を数多く描いています。今回の展示では、常楽寺の縁起や安楽寺三重塔などが見られます。また、水墨画っていうと「白」「黒」のイメージなのですが、カラフルなのもあって、写真には観音菩薩像が映っています。
そして、この父子だけでなく、兄弟や義弟も芸術家で、今回の企画展では一族の作品が展示されています。今年の前半の企画展の主役であった「寅」でも展示されていた「寅図」。益瑶の義弟である葉宗鎬が描いたものです。
 常楽寺の障壁画は、今、善光寺の横にある長野県立美術館で展示されていて、9月半ばにはこの美術館に戻ってきて見ることができるようです。本堂では、今はそのレプリカが展示されています。
常楽寺でどうして中国人画家の作品? と思いましたが、日中友好に尽力した住職親子の取組みによって美術の面でもつながりができ、こうして別所温泉の小さな美術館で観ることができます。そのことが、都会の大きな美術館で鑑賞するより、なんか絵を観るだけではない満足感を感じました。(F森)

 

 

 

 

 

 

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