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「信州上田・塩田平検定」に出る(?)文化財その11 北向観音堂

今年初めて行われる「日本遺産 信州上田・塩田平検定」で出題されるかもしれない文化財の紹介シリーズその11 最終回です。
検定についての詳しいことはこちら→ https://www.city.ueda.nagano.jp/site/nihonisan/81695.html
 今回はシリーズの締めとして「北向観音堂」です。
ご存じのとおり、北向きに建てられている全国的にも珍しいお堂です。長野市の善光寺と南北に向き合っていて、「来世往生」の御利益がある善光寺「現世利益」の北向観音を両まいりすると、今の世もあの世でもしあわせになれるとされています。
善光寺と北向観音にお参りする話に関する絵馬が本堂に掲げられています。「善光寺地震絵馬」というもの。絵馬の左上の観音様から下にいる男の人に光が差していて、右には横たわった人たちの姿があります。江戸時代終わりに近い頃のお話。皆さん尾張の国の方々で、善光寺参りに来たのですが、市之助という人は途中で北向観音に詣で、善光寺に向かいます。ちょうど善光寺大地震があり、市之助さんただ一人生き延びたということ。その時のことを絵馬にして北向観音に御礼として奉納したのだとか。
 次に紹介するのは「愛染カツラ」の木。常楽寺のところでご紹介しましたが、今は多宝塔のあるところから出現した観音様が桂の木の上にとまり、「自分をこの場所で北向きに安置せよ」とおっしゃって北向観音堂ができた。その観音様がとまった木が愛染カツラです。そうすると北向観音堂ができたのが825年と伝わっているので、木の樹齢は1200年ほど。木の高さは22メートルで幹周りは5.5メートルもあります。
で、なぜ「愛染カツラ」という名前なのか? これは川口松太郎が創った小説や映画のなかで使われたからなのです。今から80年以上も前の小説や映画ですが、医師と子持ちの看護師の愛の物語。この桂の木の下で愛を誓ったのだとか。「愛」に「染まった」人たちだから「愛染」かと思えば、そうではなく、桂の木と参道を挟んで向かいにある「愛染堂」から川口松太郎が名付けたのだそうです。愛染堂は「愛染明王」を祀るお堂。映画の最後でも、一時は分かれた主人公の二人が元のさやに戻り、愛染堂にお参りする場面があるのだそうです。
 3つ目にご紹介するのは、あまり知られていない物。本堂の正面右上に掲げられている額です。「古銭の龍」。たくさんの古い硬貨を使って龍を描いています。
古銭の出どころは、別所温泉の南にある野倉の旧家だといいます。
龍と言えば、日本遺産信州上田・塩田平のストーリーテーマ「龍と生きるまち」。九頭龍神や岳の幟、前山塩野神社本殿の龍の彫り物など、龍に関係する文化財がたくさんあります。そしてこの北向観音堂に古銭の銭。検定に出るかもしれない文化財の紹介シリーズ最後を飾るにふさわしい文化財。になったでしょうか?(F森)

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