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塩田平は米どころ。江戸時代は、上田藩5万石で、そのうち塩田で3万石って言われました。1石というのがどのくらいの量だというと、1日に1人1食1合のご飯とすると、1年365日で消費するのが約1000合。これが1石です。3万石というと、3万人が1年間食べられるということ。今の塩田地域の人口は約2万人。江戸時代中期では6500人くらいだったので、今の人口で1.5年、江戸時代で5年弱の勘定になります。上田藩の中でもかなりの量の米を生産していたのです。
その米作りをこの地域で支えていたのがため池です。年間の降水量が全国の半分くらい。千曲川のような大きな川もなく、水量の少ない川しかない塩田では、田植え前など大量の水を必要とするときに、ため池に貯めた水が必須だったのです。
そして、米作りは、後継者不足などでこの地域でもだんだん減ってきているのですが、ため池の役割はまだまだあるのです。それは、美しい田園景観に欠かせないものであり、また、マダラヤンマなどの貴重な動植物を育てるところでもあるのです。
そうした多面的な要素を持つ塩田平のため池は、農林水産省によって「全国ため池百選」にも選ばれています。また、今年は、日本遺産『レイラインがつなぐ「太陽と大地の聖地」信州上田・塩田平』のストーリーに出てくる構成文化財にも追加認定されました。
それを記念して、9月18日から11月6日まで「塩田平のため池ご紹介パネル展」が開催されます。
場所は前山の「塩田の館」。塩田平を一望できる高台にある庭園も見事な施設です。
このパネルは、塩田平文化財保護協会の人たちが何年もかけて塩田の主なため池を調査し、築造の歴史や数々のエピソード、池のまつわる民話などをA1版の大きなパネルにしたものです。
池にまつわる民話と言えば、昨年作られた「塩田平かるた」にも登場します。3枚目の写真は「甲田池のかっぱ」を絵札にしたもの。いたずらなかっぱが助けてくれたお百姓さんに御礼をする物語。こんなものもパネルで紹介しています。
あわせて、塩田平土地改良区に登録されている41のため池の写真も展示してあります。
すばらしい眺望と美しい庭園が堪能できる塩田の館で、塩田を代表する文化財ともいえるため池のすべてをご覧いただければと思います。(F森)