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常楽寺美術館の企画展 「笑い」がテーマ

 別所温泉にある常楽寺は、創建されたのが平安時代初めの825年と寺に伝わっています。今から1200年も前の話です。宗派は天台宗なのですが、総本山の比叡山延暦寺ができたときからわずか20年弱遅れただけなのです。そんなこともあってか、比叡山から遠く離れてはいますが、天台宗の「別格本山」と呼ばれています。
その常楽寺の境内にある美術館。仏教関係の美術品が数多く収蔵されているのです。
で、毎年のように企画展が開催されていまして、今開催されているのは、テーマが「笑い」
 笑っている仏像や仏画、笑いが主題の書などがたくさん展示されています。
仏教っていうと、四苦八苦の人生の中で悟りを開くとか、坐禅など厳しい修行があるとか、とかく笑顔が縁遠いような感じがしますが、厳しいだけではないんですね。お経の中には「和顔愛語」なんて書いてあるものもありますから。
展示品を見てみると、七福神の布袋や福禄寿が笑っている絵や、藤娘に寄りかかられて照れ笑いしている鬼の絵なんていうのもあります。
葛飾北斎が描いたものもありました。1枚目の写真。二又の大根を担ぐ大黒様で、ユーモラスですね。
大黒天といえば、谷文晁の作品も飾られています。2枚目の写真で、大きな袋を担ぎながら俵に乗っている姿。やっぱり七福神ていうのは笑顔が合っているんでしょうかね。
そして、常楽寺の元住職で、平和運動にも力を入れた半田孝海さんの書が印象的でした。「一笑一少一怒一老」。人間は笑えば笑うほど若返り、怒るほど年老いていくという意味だそうです。
確かにそうかもしれません。自分としても「高齢者」の部類に入って何年も立ち、「老い」が年々自覚されてきていますが、笑っていれば若返るかも、と自分勝手に期待。今の世の中、そうは笑っていられないのではありますが、ある脳科学者の言葉を思い出しました。「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」。面白くなくても、意識して口角を上げて笑顔を作れば、脳が「楽しい」と感じるのだとか。この美術館の企画展を見れば、意識しなくても笑顔になれますけどね。
 なお、企画展の会期は7月9日までです。(F森)

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