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塩田は雨が少ないところ。年間降水量は、過去3年間で1000mm弱。3年前の平成30年は670mm。上田市自体がこの30年間の平均で全国の半分くらいの雨しか1年で降らないのですが、塩田は、それに加えて山が浅く大きな川もないので、雨が降ったとしても田んぼにいきわたるには足りません。そこで、昔からため池がたくさんできているのです。
でも、そんなため池があったとしても、雨が降らないとたいへんです。人の力ではどうしようもないとき、やっぱり頼るのは神仏の力。雨乞いです。
雨乞いは昔から色んな形で行われてきました。代表的なのが「千駄焚き」とか「百八手」と言われる行事。ため池の周りでたくさんの松明に火を付け「あめふ~らせたんまいな」と唱えながら祈るもの。
これは多くのため池で行われてきたことですが、ユニークなものもあって、お地蔵さんを川に投げ込んでしまうというもの。ここでは2つ紹介します。
一つは、「野倉の赤地蔵」こと延命地蔵。真っ赤に塗られたお地蔵さんで、元は安楽寺にあったものをここに移したとのこと。
野倉の人たちは、大日照りの時、この赤地蔵を川の投げ込んで雨が降ることを祈ったそうです。
もう一つは、今は五加にある「絵堂の地蔵」。元は下之郷にあったのですが、江戸時代の干ばつのとき、下之郷の人たちが五加との境に流れている絵堂川(蛭沢川)にお地蔵さんを投げ入れました。そうすると、下之郷には雨が降らずに五加には降った。下之郷の人たちは怒りますよね。地蔵をそのまま川に置いたままにしたのですが、五加の人たちが取り上げて、川の横に安置しました。その後、今あるところに移したそうです。
雨乞いのためとはいえ、ありがたいお地蔵さんを川に投げ入れるとは不信心なことと思えますが、そうしたことでお地蔵さんが怒って雨を降らせるということで、もう切羽詰まってやむなくやったことのようです。それほど日照りはつらいものなんですね。
近年、全国的に大雨や大雪がたびたびあって、災害も多いです。「適度に降ってほしい」と思わずにはいられません。(F森)