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塩田平の検定試験に出る文化財① 安楽寺

「日本遺産 信州上田塩田平検定」。日本遺産の構成文化財や「塩田平かるた」の題材になっているものに関して、50問の問題に挑戦する検定試験です。今年も第3回が12月13日の土曜日に行われます。
一般コースとステップアップコースがあって、一般コースは四者択一問題オンリーです。ステップアップコースは単語記述式もあります。
過去2回でどんな問題が出たのか、解答の説明も含めて何回かにわたってご紹介します。
最初は「安楽寺」に関する問題を2問。
① 安楽寺の現在の宗派は、次のうちどれでしょうか?
  1 天台宗  2 臨済宗  3 律宗  4 曹洞宗
正解は、4の曹洞宗です。
そう、道元禅師が開いた禅宗の宗派。「只管打坐」、ただひたすら坐禅するという彼の教え。厳しいですね。安楽寺は、その曹洞宗。
でも、お寺が開かれてからずっとこの宗派だったわけではありません。創立されたのがいつかははっきりしませんが、常楽寺と、今はもうありませんが北向観音のすぐ横にあった長楽寺と「三楽寺」と言われ、平安時代にはあったようです。そのときの宗派は天台宗あるいは律宗と考えられています。
 そのあと、鎌倉時代に中興開創したのが樵谷惟仙(しょうこくいせん)という僧。宋に留学して、日本に帰ってきてから安楽寺を臨済宗の寺として開きました。曹洞宗と同じ禅宗ですね。そして二代目は、惟仙と一緒に日本に来た宋の幼牛恵仁(ようぎゅうえにん)。
今、安楽寺の境内に二人の木造の肖像があります。伝芳堂というお堂の中。写真の右が惟仙、左が恵仁。
その後、鎌倉時代の後室町時代になり、この寺はだんだん廃れていってしまいます。それを立て直したのが、須坂の僧、高山順京(こうざんじゅんきょう)。曹洞宗に改宗して現在に至っています。

② 安楽寺八角三重塔の建築様式は次のうちどれでしょうか?
  1 禅宗様  2 和様  3 折衷様  4 大仏様
正解は、1の禅宗様です。
仏教の建物の建築様式には、4つの種類があります。
 「禅宗様」というのは、中国から伝わった寺院建築様式です。「和様」は、中国から伝わったものが日本独自の形態として発展したもので、信濃国分寺三重塔がそうです。「折衷様」は禅宗様と和様が混ざった建物で代表例は前山寺三重塔。「大仏様」は中国の様式なのですが、東大寺大仏殿が代表例でこの名前がついています。塩田の建物にはありません。
禅宗様と和様の違いを二つ挙げます。お堂の屋根の下に奥から手前に伸びている「垂木」という材。禅宗様では手前が広がっていて扇型になっています。和様はまっすぐ。
 また、禅宗様では柱と柱を結ぶのが「貫」(ぬき)といって、柱を貫いているものです。先端が突き出ていて「木鼻」という装飾が施されています。和様は、「長押」(なげし)という横材を柱の外側から打ち付けています。
お堂や塔を見るときに、こういった建築様式の違いに注目してみるのも面白いですね。(F森)

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