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「塩田平かるた」で中禅寺薬師堂を読んだ句は「野鳥鳴く 茅葺屋根の 中禅寺薬師堂」。
その茅葺屋根ですが、8月から葺き替え作業が行われ、10月初めには新しい屋根がお目見えしました。そして、10月20日の日曜日、落慶法要が行われました。
まずは、近くの集会所から薬師堂前まで「お練り」。法螺貝を吹きながら歩く山伏姿の僧侶の後から、同じ真言宗智山派のお寺の住職たちが続きます。その後ろには大きな赤い笠をさしかけられた中禅寺の住職の姿。父親の前住職から引き継いだばかりの新しい住職です。
薬師堂の前では、僧侶の読経。参列された招待客が周りを取り囲みます。
そのお客さんたちが楽しみにしているのが、「ごし餅まき」です。住職などが放り投げる餅を見事キャッチしたり、拾ったり。
法要の前には、薬師堂の一般公開が行われ、中に安置されている薬師如来坐像を写真に収める人もたくさんいましたね。
その方々が言うには、「薬師堂の屋根は、葺き替え前に比べると丸くなった」。
3枚目の写真の左が葺き替え後、右が葺き替え前です。そう言われると、なんとなく新しい方が丸みを帯びているような。
この葺き替えですが、4年前に北面と西面をやりました。そして今回、南面と正面に当たる東面。これですべて葺き替えられました。
国の重要文化財であるこの薬師堂。美しい姿を保っていくには、これからも葺き替えが必要になってきます。800年も守られてきた大切な文化財です。地元に住む者としてバックアップしていきたいですね。
ところで、落慶法要のあと行われたのが新住職の「入山式」です。
本堂で式が行われました。住職が代わったときに行われる儀式が「晋山式」や「入山式」と呼ばれるもの。
お寺にはどこも「山号」が付きます。中禅寺は「龍王山」。前山寺は「獨股山」(とっこさん)で、安楽寺は「崇福山」。昔は山の中にお寺がつくられたので、その山の名前を付けたのだとか。「高野山金剛峰寺」とか「比叡山延暦寺」なんてまさにそうですね。中禅寺の山号である「龍王山」は、お寺のすぐ奥にある険しい山です。日照りの時は住職がこの山に登り、雨乞いの祈祷をしたそうです。
沢山池という巨大なため池ができたりして、田んぼの水の供給が安定して、雨乞いをするようなことはこれからはないと思いますが(地球温暖化で必要になるかもしれませんが)、新住職には、大切な文化財をしっかり守っていってほしいと、式の中で行われたお焼香の際にお願いしてしまいました。ごめんなさい。(F森)