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塩田平にたくさんあるため池を紹介するシリーズ。4回目は「小島大池」です。
舌喰池に続き、おもしろい(?)言い伝えのあるため池のお話です。
塩田のため池の中では6~7番目に大きな池です。貯水量は10万2千トン。満水面積は4へクタール弱。造られたのは江戸時代初めの1618年。真田信之公が藩主の頃です。
おもしろい言い伝えというのは、それから60年ほど後、5代将軍徳川綱吉公が出した「生類憐みの令」に関係する話です。「犬公方」と呼ばれた綱吉公、犬を始め、猫、鳥、魚、昆虫に至るまで、それらを殺した者は死罪になることもあったという、今では考えられない法律です。もとは、将軍が儒教を尊んで「生きとし生けるものの命を大切にする」という精神から来ているようですが。
で、小島大池の話です。7月の暑い日、山の方から小島村の方にイノシシが何頭も走ってきて稲の植わっている田んぼを荒らし始めました。
お百姓さんたちが怒ったのなんの。くわがらを振り回して追い払おうとしましたが、そのとき「ぱんぱーん」と鉄砲の音。それに驚いたイノシシは近くの小島大池に次々に飛び込んでしまいました。その数22頭。
お百姓さんたちは、日頃イノシシに田んぼや畑を荒らされているので、「このさい殺してしまえ!」といきまいていましたが、そこへ来たのが村の組頭。「子犬を殺しただけで死罪になるんだぞ!」。お百姓さんたちは真っ青です。そうこうしているうちに、イノシシたちは池の中にブクブクと沈んでいくではありませんか。みんなはあわてて助けようとしましたが、5頭がおぼれて死んでしまいました。
しょうがない、隠してはおけないということで、庄屋が上田の役所に報告し、お役人たちが池までやってきて、皆に言い渡しました。「池の脇にイノシシを埋め、その横に「イノシシが池に入って死んだのでここに埋めた」旨書いた木札を立てること。」
そして、村人たちが丁寧に葬ったので、村におとがめはありませんでした。笑えるようで笑えない話。まあ、良かったと言えば良かったですけど。
小島大池の堤には、そんなエピソードを書いた案内板が建てられています。(F森)