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塩田平は米どころ。なのですが雨の少ないところ。年降水量でみると全国平均の約半分。加えて、千曲川のような大きな川がないので、田んぼに入れる水が足りないのです。そこで活躍するのがため池。江戸時代は300を超える池があったと言われますが、今も、塩田平土地改良区に登録されているため池が41か所。総貯水量は、1万軒のお宅が1年間使う水を賄うことができるほど。
でも、過去にはそれでも足りない時がたびたびあったのです。
そうなれば、もう神頼み。雨乞いです。
塩田で行われる雨乞い行事のやり方は、例えば、いつもは神妙に拝んでいるお地蔵さんを川に投げ入れて、怒ったお地蔵さんに雨を降らせてもらおうという、ちょっと乱暴なものもあり、戸隠神社や諏訪大社に参拝して「種水」をもらって、それを大事に持帰るとかがあります。
そして、多くのところで行われてきたのが、大きな松明をたくさん燃やして祈る行事。「百八手」とか「千駄焚き」などと呼ばれますが、ため池の周りなどでみんなで松明を燃やし、「あめ~ふ~らせたんまいな~」と唱えるもの。
それを再現した催しが9月24日に行われました。
場所は、手塚地区の「舌喰池」。
日が短くなってきて、行事が始まる午後6時頃には薄暗くなっています。松明を持った150人ほどの人たちが池の堤の上で2mほどの間隔に立って待機。池の堤は長さが500m弱。その3分の2くらいはカバーしている勘定ですね。
主催者などのあいさつのあとは祈禱です。神仏習合の祈禱ということで、まずは神社の神官さんたち。次に塩田仏教会のお坊さんたちによる般若心経の読経。
そして、いよいよ点火。周りはもう真っ暗です。
この松明。竹の棒にワラを巻き付けたものです。長さは、子ども用のものでも2m、大人用は3mもあります。
火がついて、池は真っ赤な炎に囲まれています。水面にもその火が映って迫力満点。
そして、「あめ~ふ~らせたんまいな~」。子ども大人も大きな声で祈ります。
この行事、本当は前の日に行われる予定でした。でも、その日は大雨。塩田地域自治センター近くに県が設置している雨量計では、一日の降水量が52mm。塩田ではかなりの雨。雨乞い行事が行われることを察知して、天が早めに雨を降らせたのでしょうか?
今回の行事、一つのイベントではあるのですが、昔から先人たちがいかに苦労して水を確保してきたか、神頼みまでしなくてはいけなかったんだと、その思いを馳せる行事でした。(F森)