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塩田平にある仏像を仏様の種類(?)ごとに紹介するシリーズ。最終回は、前回に続き「阿弥陀如来」なのですが、常楽寺美術館で開かれている阿弥陀如来を中心とする企画展のご紹介です。
この企画展、3月から始まり、6月30日まで開催されています。題して「阿弥陀浄土へのいざない」。
パンフレットにあるあいさつの中で次のように記されています。
「極楽浄土の仏として知られる阿弥陀如来は、苦しみに満ちたこの世を離れ、浄土への生まれ変わりを願う人々の振興を集めました。とりわけ、信者が亡くなる際、阿弥陀如来が現世まで迎えに来る「来迎」を期待する人は多く、この姿を表した彫刻や、来迎の場面を示す絵画が盛んに制作されました。」
この企画展では、阿弥陀如来に関係する仏画や書、仏像などが展示されています。
2枚目の写真、「当麻曼荼羅」(たいままんだら)は、奈良県当麻寺にある国宝の綴織当麻曼荼羅図(つづれおりたいままんだらず)を縮小した模本です。国宝は、8世紀後半の天平年間に中将姫が織ったと伝わる4m四方の大きな曼荼羅図ですが、浄土信仰が盛んになると、その縮小版が全国に広まったのだそうです。「曼荼羅図」は、「密教の世界観を視覚的に表現した図」ということで、真ん中に中心となる仏様がいて、周りにほかの仏様が配されています。
展示されているものは、中心に阿弥陀如来がおられ、周りにたくさんの仏様がいろんな表情で描かれています。
また、阿弥陀如来といえば、信州の人にとっては善光寺の「一光三尊阿弥陀如来」ですね。その昔、廃仏派の手によって難波の堀江に投げ入れられていたのを、信濃の本田善光が背負って長野に来たという善光寺の縁起。その三尊が描かれた仏画もあります。3枚目の左の写真です。その右は、阿弥陀様が25人の菩薩を従えて臨終の人を極楽に連れて行こうと迎えに来たという「阿弥陀二十五菩薩来迎図」。
企画展では、半田孝淳師の「南無阿弥陀仏」の書が展示されています。常楽寺の住職、そして天台座主という天台宗のトップになった方。
その常楽寺。天台宗のお寺です。浄土宗や浄土真宗にほか、天台宗でも本尊を阿弥陀如来にしているお寺が多いということです。というか、天台宗の方が宗派の歴史は古いので、阿弥陀如来を拝んでいたことでは先輩格なんですね。
そして、常楽寺の本尊は「妙観察智弥陀如来(みょうかんざっちみだにょらい)」です。阿弥陀如来なのですが、阿弥陀如来の智慧=すべての衆生をよく観察し、その苦悩や煩悩を理解し、決して見捨てないで救済する智慧 を持っていることを意味します。この本尊は、写真撮影がダメなので画像はありませんが、阿弥陀如来には珍しい宝冠をかぶっているのが特徴です。本堂でぜひ拝観していただきたいですね。(F森)