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四国八十八所の霊場を信州の塩田で巡る その8 中禅寺

江戸時代の元禄の頃、四国霊場の仏像を塩田に勧請した札所を巡る旅。8回目は「中禅寺」です。真言宗智山派のお寺。
 山号は「龍王山」。雨の少ない塩田で昔から行われていた雨乞い。ため池の周りで松明に火をつけて「雨降らせたんまいなあ」と祈る千駄焚きが各池で行われてきましたが、中禅寺の住職が龍王山に登って祈願するというのも行われてきたそうです。龍王山は独鈷山の支峰の一つ。寺から見上げるといかにも険しそうな山です。
そんな中禅寺は文化財の宝庫。薬師如来坐像は国の重要文化財で、平安時代末期か鎌倉初期に造られたもの。優しいまなざしのお薬師さんで、見ているとホッとします。薬師如来を守護する十二神将は、一体しか残されていないのが残念です。この仏像の台座には、馬に乗って矢を射る「流鏑馬」の様子を描いた絵が描いてあります。職人の落書きでしょうか。

 その薬師如来を祀っている「薬師堂」も重要文化財。茅葺の屋根で、上には宝珠と露盤というものが乗っていて、上から見れば真四角に、東西南北どこから見ても同じ形の屋根に見える「宝形づくり」という建物です。平泉の中尊寺の金色堂と同じ形式。中部日本最古の建造物と言われています。

 

 

 薬師堂を護るように立っているのが「金剛力士像」です。「阿形」「吽形」の2体で、写真は口を開けた「阿形」。運慶快慶が造った東大寺南大門の筋骨隆々で力強い表情の像と比べると、少し穏やかなお姿。親しみが持てる仁王さんです。

 

 

 

 

 

 本堂の中にもご本尊の「延命地蔵」や「千手観音立像」などの仏像のほか、「釈迦涅槃図」もあります。きれいなままで保存されていて、お亡くなりになるお釈迦様を取り囲む数多くの人や動物などには、珍しくそれぞれの名前が書かれています。普段は公開されていませんが、涅槃図について解説してくれる「絵解き」が今年行われたときに撮った写真です。貴重な経験でした。(F森)

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