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塩田平の文化財 -雨乞いの奇祭「岳の幟」-

今回ご紹介するのは、上田市別所温泉で毎年開催されている雨乞いのお祭「岳の幟」(たけののぼり)です。国の選択無形民俗文化財に指定されています。

上田市は、降水量が全国的に見ても少なく、全国では3千ミリメートルを超えるところもありますが、年平均9百ミリメートルくらいです。そのため、塩田平を中心にため池がたくさんあって、農業用水を確保しています。

ため池があるとはいっても干ばつの年はあるもので、約5百年前、大干ばつに見舞われた際、別所温泉と青木村の境にある夫神岳(おがみだけ)に九頭竜権現をまつり、雨を降らしてくれたら毎年あらん限りの布を献上しますとお祈りしたところ、雨が降ったそうです。それからは毎年、布を竹ざおに付けて夫神岳に登り、お参りした後下まで下ってくるようになったのがこのお祭の始まりだとか。

毎年、7月15日に近い日曜日に開催されていて、今年は7月14日の予定です。

 写真は以前に撮ったもので、最初が「岳の幟」の行事、2枚目は「ささら踊り」、3枚目が「三頭獅子」(みかしらじし)です。

岳の幟では、山頂から降りてきたたくさんの幟、高さは7~8mはあるでしょうか、何十本もの幟がはためいています。笛や太鼓のあとには、きれいな着物に花笠をかぶった小学生の女の子たちが手に「ささら」を持って進んできます。そのあと地域の男たちが幟を持って歩いてきます。持たせていただきましたが、結構重いです。山から下ってくるのはたいへんだろうなあ。

 別所温泉の外湯である「石湯」や「大湯」、日帰り温泉施設の「あいそめの湯」、そして最後「別所神社」では、女の子たちの「ささら踊り」と「三頭獅子」の舞が披露されます。ささら踊りは、竹を割って刻みをつけた「ささら」を両手に持ち、たたいたり擦ったりして音を出しながら踊ります。結構練習したんでしょうねえ、みんな仕草がそろっていました。

 

 

 

 三頭獅子は、獅子頭をかぶった三人が舞を踊るのですが、1頭の雌獅子をめぐって2頭の雄獅子が争う様を舞にしたそうです。激しい動きもあって、暑い中たいへんそうです。ご苦労様です。

今年もきっと良い天気に恵まれるでしょう(雨乞いの時は降っていないですようねえ。きっと次の日降るでしょう!)。全国的にも珍しいお祭り、ぜひご覧になっていただきたいです。(F森)

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