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塩田平の文化財を紹介するシリーズ。今回は、西塩田の鞍が淵です。
鞍が淵。産川上流の淵で、大岩の下の部分が馬の鞍のような形になっているので付けられた名前です。
手塚から産川沿いの林道を上流に向かって1キロメートルほど進むとあるのがここ。塩田で一番大きなため池の沢山池のすぐ下にあります。
塩田の川は水量も多くなく、水が常に溜まっているところは多くないのですが、鞍が淵はいつもこんな感じ。塩田では数少ない水の名所です。
戦中の昭和18年(1943年)までは、ここに旅館もあったということで、その痕跡も残っています。
ここで生まれた民話が「小泉小太郎」。松谷みよ子さんの「龍の子太郎」のモデルになった物語です。「龍の子太郎」は龍から生まれますが、鞍が淵のは大蛇。人間と大蛇の間にできた子どもです。産川の名前も小太郎が生まれた川で「産」川となったとか。ちなみに、私の家の猫は、小太郎にあやかって「こたろう」にしてます。
この鞍が淵ですが、林道を結構入っていかなければいけないところにあるので、特に最近はなかなか訪れる人も少なく、川沿いの鞍が淵に降りていく道や看板も「もうちょっとなんとかならないかなあ」と思うレベルでした。馬の鞍に見えるはずの岩も「鞍?」という感じ。
でも、西塩田の人たちがここを整備してくれて、階段や標識が新しくなっています。「鞍が淵」もまさに「鞍」になっています。
浅瀬の多い川だらけの塩田では珍しく、水が青く見えます。森に囲まれた清流。小太郎伝説とともに残しておきたい自然の文化財です。(F森)