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ドローンで撮影された塩田のため池を見るシリーズの5回目です。
今回は、中塩田にある中野前池です。別所線の線路沿いで、中野駅のすぐ近くです。
貯水量は4万トン。塩田のため池の中では中くらいです。田んぼの多い中野ではここしかため池がなくて、昔は「三倍池」と呼ばれ、この池の3倍の水がなければ稲作ができなかったそうです。このため、手塚の舌喰池や山田池からも水をもらっていたということ。
そんな中野前池にまつわる言い伝えです。
中野前池の北側に「薬師堂」があります。中には「末木の薬師」と呼ばれる薬師如来像が安置されています。また、昔水をもらっていた手塚には、「元木の地蔵」というお地蔵さんが無量寺に祀られています。
平安時代、弘法大師が塩田においでになった時、元木沢というところに立派な柳の木が立っているのを見て、根元に近い方でお地蔵さんの像を彫り、枝に近い方で薬師如来像を彫ったのです。そして、地蔵は手塚に、薬師は中野に安置しました。これが「元木の地蔵」と「末木の薬師」で、この二つの像は南北に向かい合っているのです。今はちょっと違いますがね。
写真は、左が「元木の地蔵」で右が「末木の薬師」。
で、江戸時代、中野前池の土手道を馬に乗った人が通りました。どうしたことか、突然馬が転び、馬も人も大けがをしました。その原因、元木の地蔵と末木の薬師が向かい合っている、その目線を切ってしまったからなのです。そこで、人々は、謝罪の意味を込めて、中野前池の土手に「馬頭観音」像を建てました。今もその馬頭観音は、別所線の線路に近い土手にあるんですよ。(F森)