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塩田平の文化財 -塩田の百体観音-

百体観音というのは、その名のとおり、観音菩薩の仏像が百体祀られているということです。
上田の百体観音というと、信濃国分寺の境内にある「観音堂」が有名です。
百体といっても、百種類の観音様がおられるということではなく、3か所の札所の観音様をあわせると百になるということ。信濃国分寺のは、秩父札所の三十四観音+坂東の三十三観音+西国の三十三観音で百体観音です。
「秩父」は、埼玉県の秩父地方の34のお寺を札所にしています。
「坂東」は、関東7都県(東京都・神奈川県・埼玉県・群馬県・栃木県・茨城県・千葉県)の行程が1300kmもある広い範囲の札所です。
「西国」は、近畿6府県(京都府・大阪府・滋賀県・奈良県・和歌山県・兵庫県)と岐阜県というこれも広範囲で、しかも日本で最も歴史のある巡礼地なのだとか。
で、信濃国分寺では、これらの札所の百体観音がまさに「一堂に会し」拝むことができます。
 では、塩田にはないのか? というと、あるのです。 ただし、一堂に会してはいないのですけど。
秩父と坂東、西国の観音様たちが、場所は別々なのですが拝むことができます。
まず、「秩父三十四観音」「北向観音堂」の境内に祀られています。安置されたのは江戸時代の享保年間といいますから、徳川吉宗公が将軍の頃。1720年代を中心とした今から300年ほど前。長野市の信者の方が、秩父と坂東、西国に、なんと四国霊場の八十八体の仏像も含め、北向観音堂や善光寺をはじめ4カ所にお祀りしたのです。全部で百八十八体ですからたいへんな数ですね。
 次に「坂東三十三観音」です。舞田に「法樹院」という浄土宗のお寺があります。その門の前の右手に虚空蔵菩薩を祀ったお堂があるのですが、その中に三十三体の観音様がおられます。木造ですが金ぴかの仏像です。
坂東三十三観音は、江戸時代も後期の文化6年(1809年)に勧請されたもの。
最後に「西国三十三観音」です。前山寺の奥の院がある「弘法山」の道沿いに祀られた石造りの観音像です。祀られたのは坂東より10年ほど早い寛政5年(1793年)。当時は木造でした。長い間に壊れたりなくなったりしたので、平成2年(1990年)に地元自治会や石工組合の人たちによって石の観音様が安置されました。昔の観音様も実は残っていて、前山寺の「明王堂」という、三重塔の横にあるお堂に16体祀られています。「坂東」と同じように金色に輝く美しい仏像です。
 塩田には、「四国霊場」の八十八体の仏像も江戸時代に勧請され、塩田の21のお寺やお堂に安置されました。今はなくなってしまっている仏像もありますが、「札所めぐり」は行われています。
四国霊場の八十八体と合計百体の観音様をあわせると百八十八体。日本の有名な札所の仏像が塩田で拝めるのです。
数日かけて全部回れば、これ以上ないご利益があるかもしれませんよ。(F森)

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