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雨乞いのやり方のその2。日本遺産の構成文化財にともに指定されている「前山寺」と「中禅寺」の住職が山に籠って祈祷するというものです。両方とも真言宗智山派のお寺。弘法大師が開いたのが始まりというのも共通点です。雨乞いの仕方も似ています。
前山寺の場合。1枚目の写真のような道具(?)を使います。左の水鉢に入っているのが縄で作った「水竜様」。独鈷山の山頂に持って行って、水鉢に水を注ぎます。水竜を浮かべて祈祷すると、竜が頭をもたげてきて、そうすると雨が降ってくる。というもの。
2枚目の写真は、縄で作った水竜様をアップにしたものです。精巧にできています。初めて見たときは縄とは思わなかった。ほかのものも含め、大切に保管されていました。いざとなったら、まだ出番ですから。
中禅寺の場合も水竜様を水に浮かべて祈るのは同じです。
中禅寺の山号は「龍王山」。その龍王山がお寺のすぐ上にあります。3枚目の写真です。後ろの独鈷山と境が良くわからないので、白い線を引きました。独鈷山の支峰で、細長く上は尖っています。ものすごく険しそうな山。
この山に、日照りの時は住職が登って行って、祭壇を設け、雨が降るまで祈祷するのだとか。食事は村人が運んでくれるそう。
聞くところによると、頂上に近くなるにつれて傾斜がきつくなる独鈷山より、さらに険しい。そんなところに登って何日も祈らなければならないとは、お坊様もたいへんですね。まさに必死の祈り。
干ばつの時に行われる塩田の雨乞い。「どんなことをしても降ってほしい」という村人たちの心からの願いをかなえるためのやり方。最後は神仏に頼らなくてはならない中で、どれもその気持ちが表れる儀式です。
今は、「ため池のため池」と呼ばれる大きな沢山池や丸子の依田川の水を引っ張ってきて、塩田も水不足になることは少なくなりました。でも、地球温暖化の中で、大雨の時もあれば、日照りもまたあるかもしれません。今年は水がたっぷりあり、田植えも最終盤。苗の並んだ田んぼを見ながら、「ともかく、今年は良かったね。」(F森)