
お電話でのお問い合わせ0268-38-8600
今年も第3回が行われる「日本遺産 信州上田塩田平検定」に出た問題を紹介するシリーズ。
4回目は、前山の塩野神社に関する問題です。
前山塩野神社の本殿の建築様式は、次のうちどれでしょうか。
1 大社造り
2 楼門造り
3 三間社流れ造り
4 一間社流れ造り
正解は「4」の一間社流れ造りです。
前山塩野神社は、今から約1300年前の天武天皇の時代に、出雲大社の分霊を勧請して、独鈷山の鷲岩に祀ったのが始まりとされています。その後、参拝が不便なので今の場所に移されたのだそうです。険しいのが特徴の独鈷山に登って参拝するのは、登山が好きな人でも確かにあまりやりたくない。
このお宮は10世紀にできた国の公式文書「延喜式」に出てくる由緒ある神社。ただ、保野の塩野神社とどちらが延喜式の「塩野神社」か江戸時代に争いになり、寺社奉行から両方とも「塩野神社」と名乗ってはいけないという裁定が下ってしまい、明治になってやっと両方とも塩野神社と言えるようになったのです。
最初の写真の奥にあるのが本殿です。江戸時代中期の1750年に現在の建物に再建されました。「一間社流れ造り」というのは、お宮や祠ではよく見かけるのですが、切妻造りの屋根の手前の面が長いのが特徴です。
本殿の手前にある拝殿の建築様式は、選択肢の2番の「楼門造り」です。2階建の建物で、拝殿がこの造りなのは珍しいということで、県内ではほかには諏訪大社だけだそうです。拝殿ができたのは、本殿ができるちょっと前の1743年。
では、本殿に関する次の質問です。
前山塩野神社の本殿にある彫刻で、実際にあるものは、次のうちどれでしょうか。
1 龍の彫刻
2 鳳凰の彫刻
3 鶴の彫刻
4 虎の彫刻
正解は「1」の龍の彫刻です。
この本殿には見事な彫刻が施されています。天女や龍、花模様や雲形など「いたるところ彫刻だらけ」という感じ。
龍の彫刻は何カ所もあるのですが、一つの言い伝えがあります。
ここにある龍なのですが、夜になると御神木のケヤキの木を遊び場にしていて、枝が折れて枯れそうになってしまいました。そこで困った村人は、龍の目玉をえぐり取ってしまい、目が見えなくなった龍は暴れることができなくなりました。
ある夏の日に大夕立があり、真っ暗になって電光がひらめき、大きな音とともに御神木に雷が落ち、木は燃え始めました。雨はやみましたが火は消えず、とうとう根元の少し上から折れてしまいました。村人たちは、龍の目玉をえぐるようなむごいことをしなければ、龍が天に昇ってもっと雨を降らせて火を消してくれたかもと、たいそう後悔したそうです。(F森)