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塩田平の検定試験に出る文化財③ 中禅寺

今年も第3回が行われる「日本遺産 信州上田塩田平検定」に出た問題を紹介するシリーズ。
3回目は、中禅寺に関する問題です。
中禅寺の本尊は、次のうちどれでしょうか?
 1 延命地蔵
 2 大日如来
 3 薬師如来
 4 千手観音
正解は、「1」の延命地蔵です。
 ここのお寺の薬師堂にある薬師如来坐像は国の重要文化財になっていて、これを本尊と答える方が多かったのですが、中禅寺の本堂にある本尊は「延命地蔵尊」
顔から足まで全身真っ黒なお姿で、左足を垂らした坐像。珍しいです。本堂の前でお詣りしても、仏像の下の方までしか見えないので気づかない方も多いのが残念です。
上田市教育委員会が行った仏像の悉皆調査結果によれば、薬師如来像より古い12世紀前半以前の様式だといいます。
中禅寺は、寺伝では、1200年ほど前の平安時代、弘法大師が雨乞いの祈祷をするために独鈷山の山頂付近にお寺を創ったのが始まりということです。
宗派は、弘法大師が開いた真言宗の智山派。
ここのお寺、国の重要文化財である薬師堂は、平安時代末期から鎌倉時代初めにかけての建物がそのまま残っているのですが、本堂は何回も火災で焼けてしまい、ご本尊などの仏像はともかく、色々な事を記録したであろう書類は残っていません。したがって、寺がどういう歴史をたどってきたかわかっていません。
ただ、弘法大師までさかのぼるかどうかはさておき、本尊が造られた時代から考えても、平安時代であることは確かですね。塩田のお寺の中でも最も古いかもしれません。
 そして、選択肢にあった薬師如来坐像。これが安置されている薬師堂とともに国の重要文化財。像の高さは約1m。優しいお顔をしています。先代の住職によると、「仏様に向かって左手前から見たお顔が一番好きだ」ということで、その写真を載せました。穏やかな姿がいいですね。
で、この写真で、仏様が座っている台座の下に円筒形をしたものがあり、それと台座の間に厚さ2cmくらいの円盤が挟まっています。
これに絵が描かれていて、それが次の問題です。
中禅寺木造薬師如来坐像の台座にある墨書戯画には、次のうちどの場面が描かれているでしょうか?
 1 農耕の場面
 2 狩猟の場面
 3 流鏑馬(やぶさめ)の場面
 4 祭りの場面
正解は「3」の流鏑馬の場面です。中禅寺の隣には塩野神社があるのですが、その二つの鳥居の間に約220mの直線道路があり、そこで昔流鏑馬が行われていたということです。
 その証拠がこの台座に描かれた絵ですね。普通では絶対に見ることのできない所に描かれたものなので、仏像を造った仏師が落書き的な感じで書いたものなのでしょう。手塚治虫さんの祖先とも言われている木曽義仲の武将手塚太郎金刺光盛の一族は、この西前山の隣の手塚に住んでおり、流鏑馬の名手もいたそうなので、ここで練習をしていたのかもしれません。(F森)

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